Session2 「骨」

 

演題7.  東海骨バンクの15年

井澤浩之、蜂谷裕道、成田泰詞、酒井 孝
東海骨バンク、はちや整形外科病院

われわれは同種骨移植を円滑に行えるよう日本初の地域骨銀行として1992年より愛知県下で組織的に活動を開始した。2001年より加盟施設および活動範囲を広げ15年が経過した。今回この15年間のわれわれの活動について報告する。われわれは全ての保存骨を屍体からの骨提供で対応しており、ドナー情報はドナーソース病院への訪問および臓器移植ネットワークから収集している。1992年から2006年までの骨提供者数は愛知、岐阜、静岡、三重の4県19施設から106件あり、その内訳は男性69件、女性37件であった。提供時年齢は16から89歳であり、50歳代が最も多く全体の24.5%を占める26件であった。同時に提供された臓器および組織では腎臓が62件で最も多く、角膜、膵島、の順であった。保存骨供給症例は1,634件におよび、その47.6%を占めた脊椎固定術が最も多く、次いで人工股関節再置換術、膝前十字靭帯再建術であった。経時的には1993年が178件で最も多く、2000年から2003年にかけては減少したが、2004年以降再度増加していた。所属内施設への供給を原則としているが、人道的見地より全国の所属外施設へも23件の供給を行った。供給した保存骨は2,872個で種類別では脊椎固定術に使用するcortical block, iliac crestが突出して多かった。また、最近living donorからの提供が難しく、1 donorからの作成数も限られているcorticalringの依頼が増加している。今後、地域組織銀行として製品ごとのbalanceが重要になると思われる。

 

演題8. 熊本県骨バンク協会の設立から現状、課題について

櫻間博文、朝長由夏、中根惟武、高木克公
熊本県骨バンク協会

骨移植術は、従来から骨折治療や骨腫瘍の切除により生じた骨欠損部および緩んだ人工関節置換術の隙間の補填などに行われ、自家骨・同種骨・人工骨などが使用されている。
整形外科領域においては、摘出骨頭を用いた同種骨移植を実施している医療機関も多い。
骨誘導の観点から最も適しているのは、自家骨であるが、同種骨もそれにおとらず有効であることが知られている。最近では人工関節手術後の再置換術や患肢温存が望まれる骨腫瘍の手術において、大きな骨欠損部位には同種骨を用いる事が多い、しかし生体骨から得られる同種骨では、安定供給の点で大きな問題がある。
  骨バンクが医療関係者の間ではその必要性が十分に認識されていたにも関わらず、一般市民の共感を得るには至っていなかった。現在、非生体骨バンクとして認定されているのは「東海骨バンク」「北里骨バンク」の2施設であるが、平成17年7月熊本県に全国ではじめてNPO法人として「熊本県骨バンク協会」が認可された。先任の骨バンクの指導を受け「西日本組織移植ネットワーク」「臓器移植ネットワーク」「県移植Co」との連携をはかり、他の臓器・組織と同じく市民の善意による骨の提供を受けて、厳密な管理を行い、安全・安心できる保存骨を、必要としている人々のために公平に提供出来るよう努めて行く必要がある。
  熊本県骨バンク協会の設立までの経緯と現状、課題について報告する。

 

演題9.  NPO法人熊本県骨バンクと県臓器移植コーディネーターのコラボレーションによる普及推進効果

西村真理子
熊本赤十字病院 社会課
熊本県臓器移植コーディネーター

 平成18年9月に熊本県にNPO法人熊本県骨バンク協会が発足した。骨バンクの設立にあたり、熊本県臓器移植コーディネーターに相談いただき、お互いの協力関係を構築しながら、発足に向けて準備が出来たことで、今後の熊本県の移植医療の普及においても大きな推進力となると考えられる。
  今後、他の地域で新たなバンク等の移植関連組システムを作る際にも臓器や組織の関係者が協力体制をとることで、地域はもちろん、日本の移植医療の普及推進に大いに役立つと思われるので、今回、発足までの経緯と協力体制を紹介し、参考にしていただければ幸いである。
  また、それぞれの分野に関わるコーディネーターたちが、お互い切磋琢磨し資質を磨き、国民の期待に沿える移植コーディネーターとして成長するために日本移植コーディネーター協議会(JATCO)に加入し活性化させることが必要と考える。

 

演題10.  非生体ドナーからの組織採取・処理・保存にかかる費用の検討

占部 憲、成瀬康治、池邊紗織、内山勝文、糸満盛憲
北里大学整形外科、北里大学病院骨バンク

【目的】整形外科領域では生体ドナー、非生体ドナーから組織を採取している。生体ドナーから採取される組織は主に股関節手術の際に得られる大腿骨頭であり、その採取・処理・保存にかかる費用はすでに算出されている。しかし非生体ドナーから採取される組織の費用は明らかでない。本研究ではこの費用を明らかにし、今後の非生体ドナーからの組織採取体制について検討する。
【方法】採取・処理・保存にかかる費用は、医療機器使用料、医療機器以外の機器使用料、機器メンテナンス料、人件費、医療材料医薬品等の費用、医療材料以外の消耗品の費用、およびその他の費用から算出した。当施設で年間7回採取を行い25回の組織移植術を行うと仮定し、1回の費用を算出した。
【結果】1回の組織移植術にかかる組織の採取・処理・保存の費用は、医療機器使用料27,114円、医療機器以外の機器使用料16,148.5円、機器メンテナンス料23, 518.4円、人件費59,993.2円、医療材料および医薬品費37,191.1円、医療材料以外の消耗品費76,189.2円、その他57,991.5円であり、合計で298,176円であった。
【考察】整形外科領域の移植術では、1回の移植術に使用される組織の数や量は各症例で異なる。そのため各移植術を同じ費用として試算することには問題がある。しかし先進医療では1回の移植術に対する費用という形でしか申請できず、今後再検討の必要があると思われる。本研究の試算では、非生体ドナーから整形外科領域で必要とされる組織を採取していくためには、少なくとも年間7,454,400円の費用がかかることになる。そのため採取・処理・保存を1施設で行うことができる施設を全国に配備することは困難である。そこで現在活動している2つの地域骨バンクが中心となり、組織採取と処理・保存を分けて行うシステムを確立する必要があると思われる。