Session5 「膵島」
演題20. 東北大学における臨床膵島移植 後藤昌史1)2)、小川則彦2)、関口 悟2)、檜尾好徳3)、山田高弘3)、平井完史3)、峯岸正好4)、伊藤経夫4)、佐藤和重2)、土井秀之5)、川岸直樹2)、赤松順寛2)、宮城重人2)、武田郁央2)、福島啓介2)、佐藤明史2)、高橋英幸2)、齋藤之彦2)、小林仁存2)、中西 史2)、斉藤尚子5)、上野秋花6)、砂原 健7)、石原寿光3)、田村 明3)、山口 賢3)、鴇田 藍3)、角田宇衣子3)、薄井正寛3)、富永 竜3)、石川素子3)、藤盛啓成6)、土屋 滋4)、黒川良望1)、玉井 信1)、岡 芳知3)、里見 進2) 【目的】東北大学においても約1年半の準備期間を経て、ようやく2006年末より臨床膵島移植が開始された。これまで2回膵臓を提供して頂き、いずれも十分量の膵島を分離する事ができ移植に至っている。一般に脳死ドナーであっても心肺停止や低酸素血症の経緯は膵島分離の成功率を低下する事が知られているが、今回我々は、分離施行の判断に難渋する心肺停止および重度低酸素血症を伴った心停止ドナーからの膵島分離を経験したので報告する。
演題21. 当院における腎移植後膵島移植の経験 中野昌彦1),2)、松岡信秀1)、伊東威1)、新田智之1)、金城亜哉1)、岩田誠司7)、安西慶三3) 、中村信之4)、小野順子5)、田中雅夫6)、山下裕一2) 、安波洋一1)、 【目的】今回、我々は腎移植後のレシピエントに対して二回の膵島移植を経験したので報告する。
演題22. 京都大学における心停止ドナーからの膵島分離および新鮮膵島移植 興津 輝1)、岩永康裕1)、松本慎一2)、川口義弥3)、川口道也3)、福田一仁4)、 【目的】京都大学では、マージナルドナーである心停止ドナーに最適化した膵島分離法を開発し、それを用いて新鮮膵島移植を行っている。現在までの膵島分離、膵島移植の成績について報告する。【方法】欧米での膵島分離の標準手技における膵組織保存と膵島純化の2工程に改良を加え、心停止ブタ膵組織でその効果を検討した後にKyoto膵島分離法を確立した。京都大学病院におけるKyoto膵島分離法を用いた心停止ドナーからの膵島分離および新鮮膵島移植を検討した。【結果】2004年1月から2007年3月までに提供を受けた心停止ドナー膵組織25例に対し、Kyoto膵島分離法を適応したところ20例分(80%)が新鮮膵島移植の基準を満たし9人の1型糖尿病患者(膵島単独移植7例、腎移植後膵島移植2例)に移植することができた。移植後早期には全ての症例で低血糖発作の消失、C-peptideの陽性化、HbA1cの正常化が認められた。膵島単独移植7例中当院で経過を見ている6例において、複数回移植を受けた4例(内3例はインスリン離脱歴を有する)は、初回移植より2年以上経過してC-peptideが陽性であり、血糖の安定性は維持されている。他の2例については1例が初回移植より2年6ヶ月後に自己免疫疾患の再発と考えられる移植膵島の機能廃絶を認め、1例は移植1年7ヶ月後に免疫抑制剤によると考えられる肝障害となり免疫抑制剤中止した際に移植膵島機能が消失した。腎移移植後膵島移植2例はいずれもステロイド併用例であり、それぞれ移植後9ヶ月と3ヶ月が経過するが、移植膵島は良好に機能している。【結語】Kyoto膵島分離法によって心停止ドナー膵を用いた新鮮膵島移植のための安定した膵島分離は可能であり、移植膵島は機能して血糖安定性に寄与することが判明した。
演題23. 膵島移植におけるLiberase HIによるCreutzfeldt-Jakob病感染の可能性に対する膵・膵島移植研究会の対応 斎藤拓朗1)2)、後藤満一1)2)、上本伸二3)、剣持敬4)、黒田嘉和5)、安波洋一6)、里見進7)、伊藤壽記8)、北本哲之9)、毛利資10)、寺岡 慧11) 膵島分離で使用するLiberase HI製造過程で用いられるウシ脳抽出物によるtransmissible spongiform encephalopathy (TSE)感染の可能性がNIHによって指摘された。これに対する膵・膵島移植研究会の対応について報告する。【対象・方法・結果】本研究会では、2007年3月27日にLiberase HI製造過程のClostridium histolyticum培養過程で強化培地に含まれるウシ脳抽出物がTSE危険地域由来であるため、NIHが全米のLiberase HIを用いた膵島移植を停止したとの情報を得たため、直ちにわが国における膵島移植を停止した。また、本邦で実施された心停止ドナーによる膵島移植18例と生体膵島移植1例に対するTSE感染の可能性について基礎と臨床のCreutzfeldt-Jakob病(CJD)専門家に御相談し、感染の可能性は極めて低いものの完全に否定することはできないとの御返事をいただいた。このため、4月4日に、移植症例に対してこれらの情報を文書でお伝えするとともに各移植施設を通じて御説明し、さらに献血および臓器・組織移植のドナーとならないこと、外科手術を受ける際は必ず御連絡いただくことなどをお願いした。また、コラゲナーゼ中のプリオンによるCJD感染の危険性評価のため、移植症例と同ロットのLiberase HIを用い、1x10(8)希釈のプリオンを同定可能なヒト化プリオンのノックイン・マウスを用いた高感度バイオアッセイを計画し、さらにすべての移植症例でdiffusion MRIと脳波を測定しCJD専門医による診断と経過観察を受ける体制を整えた。これらの対応は厚生労働省および遅発性ウイルス感染調査研究班の多大なる御協力のもとに1ヶ月以内で終了した。【結語】今後もこれらの対策を継続すると共に、移植再開に向けて安全性な酵素製剤を検討中である。
演題24. 新鮮膵島単独移植患者における移植後満足度についての検討 藪中重美1)、井山なおみ1)、梅谷由美1)、澁谷直美1)、興津 輝1)、岩永康裕1)、豊田健太郎2)、福田一仁2)、川口義弥3)、川口道也3)、上本伸二1)3) <背景・目的>インスリン離脱を目的として、エドモントンプロトコールに準じた膵島移植の実施が2004年4月から本邦においても開始された。2005年のアルバータ大学からの報告により、膵島移植では長期間のインスリン離脱は困難であるが、Cペプチド陽性例では、血糖値は良好に維持され不安定性も増悪しないことが示された。この報告の後、膵島移植の目的は血糖安定化へと変遷したが、その間に膵島移植を受けた患者の満足度がどのように変化したかに着目した。
演題25. 組織移植医療定着のための異種膵島移植の臨床応用にむけて 川本弘一、種村匡弘、嵯峨礼美、菰田 弘、文元雄一、出口貴司、町田智彦、澤 芳樹、西田俊朗、伊藤壽記 【目的】当院では1型糖尿病に対する根治療法として、脳死下膵臓移植および生体膵臓移植を計11例経験した。また膵島移植の施設認定も受け、臨床膵島移植を開始予定である。しかし、移植医療における絶対的なドナー不足を解決するためには他の膵β細胞ソースが必須と考え、再生医療やブタからヒトへの異種膵島移植の臨床応用を目標とした研究も継続して行っている。その中でもブタ異種膵島移植は、有効な解決策の一つとして期待されており、今回異種膵島移植時における障壁となる細胞性免疫拒絶反応の制御に関する研究結果を報告する。【方法】新規細胞傷害抑制分子である膜型FasLおよびdecoy Fasをアデノウイルスベクターに挿入し、ブタ膵島に遺伝子導入した。FACSにて目的分子の発現を確認した。野生又は遺伝子導入ブタ膵島2000 IEQをラット腎被膜下に移植、組織学的解析を施行した。【成績】膜型FasLあるいはdecoy Fasを導入したブタ膵島を移植した群では、ブタ膵島の生着期間延長を認めた。【結論】これらの分子を遺伝子導入することで、ブタ膵島の長期生着に寄与できる可能性が示唆された。 |