Session7 「皮膚」

 

演題32.  日本スキンバンクネットワークにおける同種皮膚移植の臨床効果

明石優美、田中秀治、青木大、今川理映子、小塚寛太、島崎修次、山口芳裕
日本スキンバンクネットワーク 、杏林大学医学部付属病院組織移植センター

 日本スキンバンクネットワークは昨年NPO法人格を取得し、ネットワーク参加施設も60施設へと拡大し、ますます広域型組織バンクネットワークとしての実績が期待されている。日本熱傷学会内で毎年行なわれるスキンバンク講習会でもより実践に即した講習会を行う事ことを心がけており、それがドナー数増加の理由の一つである。講習会では臨床効果からドナー適応とアセスメント、コーディネーションとインフォームドコンセント、採皮術について、などといった内容で行い、より実際の症例に近い状況を作り参加者に習得して頂いている。講習会参加者の所属する施設からのドナー情報数も年々増え、その効果も現れてきていると思われる。
  日本スキンバンクネットワークは過去に保存枚数が枯渇状態とったこともあったが、現在ではリスクの管理の定型化により。一定の枚数は常に確保できている。2007年のレシピエントへの移植回数は例年より多く、保存された組織数が増えても一定のクオリティーコントロールを行わなくてはならない。
  スキンバンクより同種皮膚の出庫を行う際、クオリティーコントロールと有害事象のトラッキングを目的として、同種皮膚移植後2週間、及び4週間目の状態をAllograft Result Reportに記入して頂いている。昨年のレポート回収率は78.3%であり、B.I(Burn Index)別に死亡率を算出、また2001年からのレポートと合わせて臨床効果として報告する。

 

演題33.  当施設における皮膚提供の現状と課題

奈良理、前川邦彦、上村修二、栗本義彦、浅井康文、中山久枝
札幌医科大学付属病院高度救命救急センター

【はじめに】当施設では重症熱傷治療に不可欠な同種皮膚移植術に関して,自施設内での皮膚提供等の過程を経て,2003年4月から学内体制を整備し,東京スキンバンクネットワーク(現日本スキンバンクネットワーク)に正式参加している.今回我々は,当施設における皮膚提供(採皮)の実績と問題点を報告する.
【提供実績】1997年の臓器移植法施行以降から2007年3月までに14例の臓器・組織提供が得られたが,そのうち皮膚提供は4例のみであった.皮膚提供のコーディネートに関しては,従来は熱傷治療を担当する救急医が実施していたが,現在は当院の組織移植コーディネーターが主に担当し,臓器移植コーディネーターと連携している.
【考察】当施設における皮膚提供実績は,他の臓器・組織特に組織移植コーディネーターが関与する角膜,心臓弁・血管と比較して多いとは言えない.専任の組織移植コーディネーターの存在によって,複数のコーディネーターが関与するという大きな問題は解決したと考えられた,しかしながら,皮膚提供実績に関しては,皮膚単独の提供承諾を得ていた時期に比べて提供実績が少ない印象かある.また他の組織より皮膚提供(採皮)に関する抵抗を感じる場合がある.今後は複数の臓器・組織提供の困難性や皮膚提供自体の問題を検討する必要があると考えている.

 

演題34.  全国の分担採皮システムの構築
−6年目となった採皮分担制度の現状の分析―

小塚寛太、田中秀治、青木 大、今川理映子、明石優美、島崎修次、山口芳裕
NPO 日本スキンバンクネットワーク(JSBN)事務局、
杏林大学医学部付属病院組織移植センター

全国のスキンバンクシステムを統合し、2006年10月よりNPO 日本スキンバンクネットワークと組織が移行した。しかし、組織の統合中にも皮膚のドナーションはまったく遅滞なく継続しておこなわれた。この理由の一つが全国に286名となった採皮医師の存在にある。2000年より日本熱傷学会内でスキンバンク講習会を実施していきたが、これらの参加者が286名となったからである。
昨年、JSBNには2006年には106件の情報提供を受け、33名から計1225.1U(1U=100cm2)の皮膚をご提供頂いた。そして、バンクに保存された皮膚は熱傷患者46名に計87回提供され、計1014.5Uが移植された。この作業に計69名の医師にご協力をいただいた。一方、2005年は、85件の情報提供を受け、33名から計1411.75Uの皮膚をご提供頂き、バンクに保存された皮膚は熱傷患者52名に計70回提供され、904.95Uが移植された。
  2005年と比較して2006年では、提供者数は33名と同じであるのに、採皮枚数がトータルで186.65U減少した。今回の調査で、採皮分坦制が開始した2001年から4年間に採皮経験がある医師を経験医師とし、2005年と2006年で始めて採皮を行った医師の比率を検討したところ、2005年は18%であり、2006年は21%と増加していた。さらに、2005年での経験医師と未経験医師の間の差は2.9U程度であり、2006年も同様の傾向であった。
今回の結果では、経験医師の方が採皮枚数は多いものの、未経験者との差異はなかった。このことより、さらに詳細に原因を分析していく必要があるが、更なる採皮枚数増加のために、スキンバンクの行う効率的な採皮術等を習得するため、スキンバンク講習会の積極的な参加の呼びかけや、再講習など更なるクオリティの改善の為に各地域での勉強会を行っていきたいと考えている。

 

演題35.  自家培養真皮臨床応用への取り組み

森本尚樹1)、武本啓1)、富畑賢司2)、平嗣良2)、鈴木茂彦1)
1)京都大学形成外科
2)グンゼ(株)研究開発センター

目的
  我々は皮膚線維芽細胞をコラーゲンスポンジに播種、培養した自家培養真皮の臨床応用を目指している。臨床使用するためにはウシ血清を用いないヒト血清あるいは自己血清を用いた培養方法の確立が望ましい。今回、成人ヒト血清及び市販無血清培地を用いた自家培養真皮作製方法についてウシ胎児血清(FBS)を使用した培養方法との比較検討を行った。
方法
  成人ヒト血清10%添加DMEM培地、ウシ胎児血清(FBS)10%添加DMEM培地、ヒト線維芽細胞増殖用合成培地(HFDM-1)を用いて比較を行った。HFDM-1は無血清、0.5%および2%ヒト血清添加し比較した。まず、ヒト真皮よりの初代線維芽細胞培養での細胞増殖の比較、次に市販線維芽細胞を用いた細胞増殖比較を行った。コラーゲンスポンジに線維芽細胞を密播種し、2週間各培地で培養を行い、スポンジ内での細胞増殖、培地中のVEGF濃度を比較した。
結果と考察
  初代培養比較で、ヒト血清添加培地及び2.0%ヒト血清添加HFDM-1を用いた際に、FBS添加培地よりも増殖が有意に優れていた。コラーゲンスポンジ内での細胞数、VEGF濃度は、ヒト血清、ウシ血清添加培地、2.0%ヒト血清添加HFDM-1間で有意差はなかった。以上より、成人ヒト血清10%添加培地及び2%ヒト血清添加HFDM-1培地を用いれば、FBSを用いた場合と同等の培養真皮を作製することが可能であると考えられた。今後、自己血清を用いた自家培養真皮作製方法について検討していく予定である。